7月22日、命展の会場に向かう途中、道路に大量のカニが車にひかれて死んでいました。
私はびっくりして車から降りました。
そこには、地獄のような光景が広がっていました。
カニの名前は、アカテガニと言います。
アカテガニは、海にいるのではなく、普段は陸上生活をしていますが、成長過程(卵から孵って、姿がカニの形になるまでの間)一時的に海の中で生活をします。
メスは、春から夏にかけて産卵し、卵から孵る直前まで、お腹で抱えて卵を守ります。
7月〜8月の大潮(満月か新月)の夜、満潮に合わせてメスが海岸に移動し、卵をいっせいに、海の中に放します。満潮の海に放された卵は、次に起きる引き潮に乗って、深い海の中に入っていきます。
✳︎大潮とは、潮の満ち引きの差が一番大きくなる時。
放卵し終わったカニは、また陸地に戻って行きます。
しかし、アカテガニが放卵のために移動する山と海の間には、大きな道路が作られています。アカテガニは、この道路を渡らないと、海に行くことはできないのです。
新月は23日です。22日〜24日が大潮だと知りました。
私とボランティアのHさんは、アカテガニが車にひかれることなく、海に行き放卵し、また山に戻ることができるよう、カニの手伝いをすることにしました。
命展の開場時間が終わり、アカテガニが出てくる場所に向かいました。
満潮の時間に合わせて、アカテガニのメスが川から上がり、集まっていました。
しかし、すでに車にひかれて死んでしまったカニの姿がありました。
このカニは、お腹に卵を抱えています。
お腹の下の方に見える、茶色いものが卵です。
拡大すると、卵の粒々がわかります。
このカニは、無事放卵し、陸に帰っていくカニです。
お腹に卵を抱えていません。
私たちは、車が来るたびに、道路を渡っているカニがお腹に卵を抱えているか、抱えていないかを確認し、そのカニが向かう方へ、カニを誘導しました。
真っ暗なので、私たちも車にひかれないように、三角反射板を立て、体には反射板のたすきをかけました。
こんな風にして、カニになるべくストレスを掛けないように気をつけながら、ほうきで誘導しました。
誘導の様子。(動画)
私たちがカニを誘導していることをわかってくれた車は、カニの渡る道路をゆっくりと進んでくれました。
アカテガニが放卵のために渡る道路は、ここだけではありません。
奄美大島の海沿いの道路のあちこちで行われています。
そして、奄美大島だけではありません。
日本の沿岸部では、アカテガニ他、様々なカニが、大潮の時、放卵のために道路を渡っています。
元々は陸も海もつながっていました。そこに道路を作り分断したのは人間です。
ほんの少しの思いやりや工夫で、救える命があると思います。
私たちは、今夜もカニたちのお手伝いをしようと思っています。
▶︎沖縄でカニの道を作っているところがあるそうです。
▶︎世界各地、動物のために作った道路を紹介してあるサイトです。